5 12月
小川一水「天冥の標5 羊と猿と百掬の銀河」
物語は急にスケールを広げる。
謎の存在ノルルスカインの出自が明らかになり、整理した形で読み進められると安心したのは一時だった。
気の狂いそうな時間と空間を前にして、想像力が追いつかない。追いつかないが読書のスピードは速かった。農場という安定した環境を舞台にしていながら、見事に緩急をつけた構成は見事と云う他ない。そして、エピローグを読む時には緊張した。ページを恐る恐る捲る経験はあまりない。章題でミスリードを誘い読者を突き落とし其の後に…という手法に脱帽。ハヤカワ文庫JA。
